ジェンチョン・リョウ《山に響くこだま》
2024/撮影:浅野 豪
ジェンチョン・リョウ
2024
《山に響くこだま》(2024)は、自然豊かな鏡野町を象徴するヤマセミをモチーフとした高さ6.5メートルにもおよぶ大型彫刻作品である。山間部の渓流に生息するヤマセミは鏡野町のシンボルとして町の鳥に指定されており、鏡野町(旧富村一円)は、ヤマセミの生息地として岡山県指定の天然記念物にもなっている。
作品の内部空間にはこの地域に広く自生するコブシの木が植えられており、木の成長と共に彼の作品はより自然と一体となっていく。本作は環境に馴染みながら、鏡野町に住む人々や、ここを訪れる人々に忘れてはならない自然からの声を聞かせてくれる。
本作品は、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」2024にて制作され、常設展示されている。

1972年、台北生まれ。
1996年国立台北芸術大学卒業。主に木工分野で培った大工技術を作品制作に応用している。精巧な職人技を活かし、都市の日常にあふれる機械や乗り物を巧みに模倣し、模倣物とその対象物との曖昧な関係を探求している。鑑賞者は、本物のように見えるものが、実は精巧に模倣された物だと気付くプロセスを経験する。このプロセスによって、当たり前だと思われている周辺環境について見つめ直すことを促し、対象の背後にある鑑賞者の個人的な物語や、社会的関心を呼び起こそうと試みている。

撮影:浅野 豪
森林地域の豊かな自然環境に恵まれた鏡野町の国道沿いにある町施設。


